この業種の課題
宿を探している人は、まだ「予約」をしようとしていません。しているのは「旅の妄想」です。窓の外の景色、湯けむり、夕食の一皿——そこに自分がいる姿を想像できた宿だけが、候補に残ります。
ところが多くの旅館サイトは、アクセス・料金・設備一覧といった「説明」から始まってしまう。説明は予約の直前には必要ですが、最初に見せるべきは情報ではなく、憧れです。比較サイト(OTA)と同じ土俵で情報量を競っても、手数料の分だけ負けます。公式サイトの仕事は、OTAにはできない「世界観への没入」です。
どう設計したか
- ファーストビューは「施設」ではなく「体験」。
建物の外観写真ではなく、湯に浸かる人と山の緑。泊まった自分を想像させる写真を、文字を最小限にして画面いっぱいに。 - 縦書きタイポグラフィで「和」の空気を。
ロゴと見出しに縦書きを使い、スクロールの先々に筆記体の英字を小さく添える。レイアウト自体が「日本旅館らしさ」を語ります。 - コンセプトは短く、詩的に。
「ここではない、どこかへ。」——設備の自慢ではなく、訪れる理由を一行で。長い説明文は読まれません。余白が高級感をつくります。 - FACILITY は写真グリッドで「歩かせる」。
玄関 → 廊下 → 部屋 → 食事 → 風呂と、チェックインからの動線順に写真を並べ、誌面を眺めるだけで一泊を疑似体験できる構成に。 - 料理と部屋は「寄り」の写真で。
俯瞰の集合写真ではなく、一皿・一室に寄る。旅館の決め手は総合点ではなく「この部屋に泊まりたい」「これを食べたい」という一点突破です。 - 予約は最後に、日付から。
没入が終わった後のページ下部に、日付指定の予約フォームとアクセス情報を集約。気持ちが高まった瞬間に、そのまま日程を選ばせます。
実際、どうだったか
オーナーの実感(一言)
(★ここにオーナーさまの言葉が入ります。例:「公式サイト経由の直接予約が増えました」)
この業種の勝ちパターン
旅館サイトの鉄則は「憧れ → 確信 → 予約」の順番です。
世界観の写真で憧れさせ(憧れ)、部屋・料理・施設の具体で「想像が裏切られない」ことを確かめさせ(確信)、温度が最も高いところに予約導線を置く(予約)。この順番が崩れているサイト——たとえば料金表や空室カレンダーから始まるサイト——は、OTAとの比較に飲み込まれます。公式サイトでしか出せない空気をつくることが、手数料のかからない直接予約への一番の近道です。